COLUMN 2016.03.22
君は傘を差し出してあげられるか?
随分と昔の話。
その日、知人の誕生日パーティーに呼ばれていたときの事。
タイミング悪く、取り急ぎの用事ができてしまったのでパーティーへ向かう前にお店に予約してしていたホールケーキを取りに向かう時間が閉店時間を過ぎてしまいそうでした。
急用やアクシデントが起こった為に、予定を押してしまった事など、 誰にでも経験のあるかと思います。
その旨を電話でお伝えするとお店の方は快く了承してくださり、とても助けられた思い出があります。 とは言え、とても有名なお店で、特別な日に予約をしている程でしたから当時僕が頻繁に通っているような常連さんという事は決してありませんでした。
この思い出が10年近く経つ今でも覚えているのは理由があります。
お店の最寄りの駅に到着したのは閉店時間を10分以上も過ぎていたのです。
申し訳ないのと、一刻も早く向かわなければという思いで走って向かい、 お店の前まで来て立ち止まると、
なんとお店の方が外に出て待っていてくれたのです。
あまりに急いでいたのと、お店の構える立地からしてそんなに全速力で走っている人もいない事からか、察して頂き
「ご予約頂いておりました吉田様でしょうか?」
と、声をかけてくださったのです。
すいません。と遅れてしまってまでこんなにも優しい対応をしてくださるのかと本当にありがたいなと思っているところ
「さ、どうぞ中へお入りください。 お急ぎ頂いてしまって大変申し訳ありません、 私共の営業時間がもっと長く取っておりました ら、こんなにもお急ぎ頂かなくともご来店頂け ましたのに、、、ありがとうございます。」
と、こんな言葉までかけてくださったのです。
僕は何と素敵な経験をくださったのだろうと、若いながらに感動をしました。
接客業、サービス業の精神とはこういうものなんだなと深く心に刻んだ憶えがあります。
もし、この方が個人的な判断でこういった対応をしてくださったのなら それはとても素晴らしい人間性の持ち主だという事は言うまでもありません。
更に言うならば、 仮にこういった対応がマニュアル化されていたり、会社や、店舗の当たり前の風土になっているのだとしたら優秀な素晴らしいものだなと思います。
会社の方針や提供によってはサービスや提供する内容の均等さを謳う場合もあるかとは思います。
が、それにはとらわれずに時に良い意味ではみ出した行動や言動が感動になったりもするのかなと。
雨が降っては傘が要ります
隣を歩く人に傘が無ければ一緒に入れてあげたり、差し出してあげたり。
仕事というものにはそういった精神がいつの時代にも必要なのではないかと、そんな事も思っています。
Lond ロンド 吉田牧人